ソルベントクラック/solvent-induced cracking

応力(ひずみ)が生じているプラスチック材料に、特定の薬品類が付着すると、材料が持つ強さ(引張降伏応力等)より小さい応力でクラックやクレーズを生じる。このような現象をソルベントクラックという。非晶性プラスチックで起こりやすいトラブル。鏡面状の破面となることが特徴的。

非晶性プラスチックは様々な薬品類でソルベントクラックを生じる。

非晶性プラスチックでソルベントクラックを引き起こす薬品類の例
潤滑油、切削油、食用油、グリース、ガソリン、洗剤、洗浄剤、界面活性剤、有機溶剤、アルコール、接着剤、可塑剤、塗料、化粧品、防腐剤、防錆剤、離型剤 等

一方、結晶性プラスチックでは以下のような一部の組み合わせでのみ発生する。
・PE+界面活性剤
・PA+塩化亜鉛水溶液
・POM+塩酸水溶液 等

 

ソルベントクラックが生じる限界のひずみを臨界ひずみという。材料と薬品類の組み合わせによって臨界ひずみはそれぞれ異なる。以下に汎用ABSの臨界ひずみ(代表値)を示す。

 薬品類 汎用ABSの臨界ひずみ(%)
ガソリン 0.2~0.4
防錆剤 0.5~0.6
グリース 0.7~0.9
家庭用洗剤 0.2~0.7
ヘアスプレー 0.2~0.3

ABSの引張降伏応力、引張弾性率はそれぞれ40MPa、2000MPa程度なので、フックの法則(σ=Eε)より、材料が降伏するときのひずみは2%程度となる。ソルベントクラックが降伏応力よりもはるかに小さな応力で起こることが分かるだろう。

 

臨界ひずみを測定する方法はいくつかあるが、下記図のような1/4楕円法がよく用いられる。楕円の曲線を持つ治具に固定した試験片に薬品類を塗布し、クラックが発生した位置から臨界ひずみを計算する方法である。

ソルベントクラックは非常にたくさんの同義語が存在する。webや論文等の文献を調べる際には注意が必要である。

<ソルベントクラックの同義語の例>
ソルベントクラッキング、ソルベントストレスクラック、薬品応力割れ、薬品割れ、ソルベントストレスクラッキング、溶剤亀裂、溶剤き裂、溶剤破壊、溶剤クラック、溶剤クレイズ、溶剤クレーズ、ケミカルクラック、ケミカルクラッキング、ケミカルアタック、ケミカルストレスクラック、ESC、環境応力亀裂、環境応力き裂、環境ストレスクラック 等

 

最終更新 2018年9月12日 

 

【参考文献】
高野菊雄 『プラスチック材料の選び方・使い方』 工業調査会
本間精一 『プラスチック材料大全』 日刊工業新聞社
JIS K7108 「プラスチック-薬品環境応力き裂の試験方法-定引張応力法」
テクノUMG株式会社ホームページ
デンカ株式会社ホームページ

 

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