熱可塑性プラスチックには非常にたくさんの種類が存在しますが、耐熱温度と結晶化度の違いにより分類することが一般的です。
<耐熱温度>
100℃未満:汎用プラスチック
100℃以上:エンジニアリングプラスチック
一般に、耐熱温度が高いほど材料単価は高くなります。(耐熱温度は、どんな製品でもその温度で使用できるという意味ではないことには注意が必要です)
<結晶化度>
結晶化度が高い:結晶性プラスチック
結晶化度が低い:非晶性プラスチック
物性や耐薬品性などに違いを生じるので、材料選択時には両者の性質の差を考慮に入れる必要があります。
その他にも近年使用量が増えている熱可塑性エラストマーや環境配慮型のプラスチック、複数の材料を組み合わせたポリマーアロイなどがあります。
分類 | 説明 | 例 |
汎用プラスチック | ・耐熱温度が100℃未満のプラスチック ・最も生産量が多いプラスチック材料であるため、一般に安価に入手することが可能。 |
<結晶性プラスチック>
<非晶性プラスチック> |
エンジニアリング プラスチック |
< 汎用エンジニアリングプラスチック> |
<結晶性プラスチック>
<非晶性プラスチック> |
< スーパーエンジニアリングプラスチック> |
<結晶性プラスチック>
<非晶性プラスチック> |
|
熱可塑性 エラストマー |
・熱可塑性プラスチックと同じように成形加工が可能で、ゴムのような弾性を持つプラスチック。 ・生産性、リサイクル性などに優れることから、ゴム材料の代替などに利用が増えている。 |
・スチレン系エラストマー (TPS) ・オレフィン系エラストマー (TPO) ・ポリエステル系エラストマー (TPEE) ・ポリウレタン系エラストマー (TPU) |
その他 | <生分解性プラスチック> 自然界で微生物により分解されるプラスチック |
・ポリ乳酸(PLA) ・ポリカプロラクトン(PCL) |
<バイオマスプラスチック> 植物などのバイオマスを利用して作られるプラスチック |
・ポリ乳酸(PLA) ・ポリブチレンサクシネート(PBS) |
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<ポリマーアロイ> 単一の材料では得られない特性を得るために、複数の材料を複合させたプラスチック |
・PC/ABS ・PC/PBT ・PA/PPE |
プラスチック生産全体に占める汎用プラスチックの割合は圧倒的ですので、最も低コストで入手がすることができます。特殊な機能や特別に高い性能が必要ではない限りは、汎用プラスチックの中から材料を選ぶことが原則です。
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【参考資料】
日本バイオプラスチック協会HP
プラスチック成形加工学会編集 『図解 プラスチック成形材料』 森北出版
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