環境負荷の低減や低コスト化を図るために、多くの企業がプラスチックの再生材料(再生材/リサイクル材料)を使用しています。この「再生材料」という言葉を使う際には少し注意が必要です。
プラスチックのリサイクルは表のように、大きく3つに分類することができます。
リサイクル方法 | 説明 | 国内使用量※1 (2015年) |
マテリアルリサイクル | 廃棄プラスチックを溶かしてペレット化し、再びプラスチック材料として使用すること。 | 205万t |
ケミカルリサイクル | 廃棄プラスチックに化学的処理を行い、化学原料として使用すること。 | 36万t |
サーマルリサイクル | 廃棄プラスチックを燃やして熱エネルギーとして使用すること。 | 521万t |
※1 一般社団法人プラスチック循環利用協会 「プラスチックリサイクルの基礎知識」
容器包装、家電、自動車を中心に回収の仕組みが構築され、年間205万tがマテリアルリサイクルされています。マテリアルリサイクルされている材料のことを一般に再生材料(=再生材/リサイクル材料)といいます。再生材料は以下図のように3つに分類することができます。
①プレコンシューマ材料
プレ(=前)+コンシューマ(=消費者)なので、消費者に製品が渡る前の製造工程で発生した材料のこと。JIS Q14021での定義は以下の通り。
「製造工程における廃棄物の流れから取り出された材料。その発生と同一の工程で再使用できる加工不適合品、研磨不適合品、スクラップなどの再利用を除く。」
②ポストコンシューマ材料
ポスト(=後)+コンシューマ(=消費者)なので、消費者が製品を使用した後に回収された材料のこと。JIS Q14021での定義は以下の通り。
「家庭から排出される材料、または製品のエンドユーザとしての商業施設、工業施設及び各種施設から本来の目的のためにはもはや使用できなくなった製品として発生する材料。これには、流通経路から戻される材料を含む。」
③同一工場・同一工程内廃材
成形時に発生するランナーやスプル、不合格品などの廃材。
通常、再生材料というと①~③のすべてを含むことが多いですが、環境負荷軽減という観点で見た場合、①、②のみが再生材料と定義されます。「自社製品の再生材比率は◯◯%」などと、環境への貢献をアピールするケースがよくあります。③を再生材料として認めてしまうと、不合格品をたくさん出している製品が環境にやさしいことになるなど、矛盾が出てきてしまいます。エコマークの認定要件でも、③は再生材料として認められていません。
プラスチック製品を設計する際には、再生材料の定義が曖昧であることを頭に入れておきましょう。仕様書に「再生材料の使用不可」と書いたとしても、①~③のどれを再生材料と考えるかは人によって異なる可能性があります。
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【参考文献】
JIS K6900-1994 「プラスチックー用語」
JIS Q9091-2016 「プラスチック再生材料ー事業プロセスパフォーマンスに関する指針」
JIS Q14021-2000 「環境ラベル及び宣言ー自己宣言による環境主張」
エコマークニュース 2000年5月10日発行 第19号
エコマーク認定基準 No.118 プラスチック製品 Version2.9
<設計者のためのプラスチック製品設計>
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