プラスチック材料の性能の決まり方(3) 成形加工メーカー

今回も前回に引き続き、プラスチック材料の構成(中身)についての話です。前回までに材料メーカーとコンパウンドメーカーについての説明を終えました。今回は成形加工メーカーについての話をします。

 

 

<成形加工メーカー>
成形加工メーカーにおいても配合剤が添加されることがあります。この工程で何が添加されるかによって材料の構成は決定します。前回のコンパウンドメーカーで説明したことと同じ理由で配合剤が添加されますので、成形加工メーカー側の事情をよく理解し、材料に関する要求事項を機能、性能、仕様のどのレベルで指定するのかをよく考えながら仕事を進める必要があります。

 

成形加工メーカーと仕事をする上で注意しなければならないことは、その売上規模、得意技術、実力などが千差万別であることです。工業統計調査によると「プラスチック製品」を生産している従業員4名以上の事業所は15,694あります(2014年)。自動車や建材向けなどで一千億円以上の規模を誇る企業から、成形機一台だけで別のビジネスの副業として成形を行っている企業まで様々です。

 

私は両方の企業とお付き合いし、成形にも何度も立ち会いましたが、規模が小さい事業所の中には、工場が完全に普通の一軒家で外部からは全く分からなかったことや、農家の納屋だったこともあります。

 

企業の規模が小さければ品質が悪いとは一概には言えませんが、やはり設計者(設計企業)を支援する体制や管理状況は、規模が小さくなるにつれて低下する傾向にあるのは否めないと思います。小規模な成形加工メーカーは物性の測定装置を持っているところもあまりありません。持っていなくても公的機関などに依頼すれば測定はできますが、非常に時間がかかるため設計効率が低下します。

 

企業の規模が大きければよいことばかりかというと、そうとも言えません。自社の売上が小さい(立ち上げようとしている製品の売上が小さい)場合は、仕事を受けてくれませんし、コストが明らかに上昇します。また、自社でコンパウンド製造をやっていたり、材料メーカーの関連会社であったりすることも多く、材料に関するイニシアチブを完全に握られることも少なくありません。また、大企業特有の官僚的事務処理も多くなるので、スピーディーかつ柔軟な製品の立ち上げができないこともあります。

 

パートナーとして成形加工メーカーを選ぶ場合は、規模の大小よりも、普段その企業がどのような仕事をしているのかをよく見極めることが最も重要かもしれません。多少規模が大きくても、大手メーカーからの材料指定(または材料支給)での仕事だけをやっている企業は、自社で材料選定をするノウハウを持っていないこともあるのです。

 

以前、熱可塑性エラストマーを使った2色成形の射出成形品を立ち上げる際に、発注した成形加工メーカーの工場に立会いに行ったことがあります。そこは50名弱のそれほど大きな企業ではありませんでしたが、国内の自動車メーカーや大手家電メーカーの製品を数多く手掛けていました。話を伺うと、熱可塑性エラストマー特有の品質問題(傷付きやすいなど)があり、大手メーカーが海外企業に出しても、またこちらに戻すことが多いとのことでした。熱可塑性エラストマーの製品を立ち上げるのであれば、このような企業をパートナーの候補とすることが望ましいと思います。

 

このように、普段何を仕事にしているかを知り、自社のパートナーとしてふさわしいかどうかを判断することは非常に重要です。特に、自社が立ち上げようとしている製品が特殊なほど、また設計者(設計企業)の実力が不足しているほど、パートナー選びの重要性が増すと言えるでしょう。単価だけでパートナーを選ぶと、痛い目を見ることは明らかです。

 

 

これまで説明してきた通り、材料メーカー⇒コンパウンドメーカー⇒成形加工メーカーというプロセスの中で、プラスチック材料の性能を決定する二つの要因のうちの一つである材料構成が決まることになります。

 

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最終更新 2016年5月26日
 
 
 

 

 

<設計者のためのプラスチック製品設計>

 

 

 

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