プラスチック製品の強度設計 単位(SI単位系/重力単位系/SI接頭語)

強度設計を行う上では、単位をしっかり理解しておくことが必要です。単位を間違えると、いくら丁寧に強度計算を行っても、正確な結果を導き出すことはできません。本稿では以下の3つについて解説します。

 

①SI単位系

②重力単位系

③SI接頭語 

 

 

①SI単位系


現在、国際標準として位置付けられている単位の考え方がSI単位系です。プラスチック材料の物性表も、主にSI単位系が使われています。

 

SI単位系には7つの「SI基本単位」と、それらを組み合わせた「SI組立単位」があります。

 

 

表.7つの「SI基本単位」

  SI基本単位
名称 記号
長さ メートル m
質量 キログラム kg
時間 s
電流 アンペア A
温度 ケルビン K
物質量 モル mol
光度 カンデラ cd

 

 

 

SI基本単位を組み合わせることによって、様々なSI組立単位を作ることができます。

 

 

表.SI組立単位の例

  考え方  SI組立単位
の記号
速さ 長さ÷時間 m/s
加速度 速さの変化量÷時間 m/s2
面積 長さ×長さ   m2
体積   長さ3  m3
密度 質量÷体積 kg/m3

 

 

組立単位が複雑になってくると、実用上は不便です。そこでSI組立単位には、固有の名称と記号をつけたものがあります。以下はプラスチックの強度設計に関係する単位の例です。

 

 

表. 固有の名称と記号を持ったSI組立単位の例

  固有の記号  名称 考え方 SI組立単位
の記号
N ニュートン 質量×加速度  kg・m/s2 
圧力、応力 Pa パスカル  力÷面積  N/m2
エネルギー J ジュール  力×長さ  N・m

 

 

圧力・応力を示すPa(パスカル)は、組立単位で表現してもそれほど複雑ではないため、 N/m2やN/mm2などで表されていることもよくあります。間違えないように単位をよく確認するようにしましょう。

 

 

 

 

②重力単位系


かつて広く使用されていた単位の考え方で、「力」を地上における重力の加速度(重力加速度)で定義したものです。今でもまだ一部で使われています。古い資料はほとんどが重力単位系で書かれているので、それらを参照する際には注意が必要です。

 

SI単位系と重力単位系の大きな違いは、力の表現方法です。重力単位系では力をkgfで表します。力の単位が変わると、力が組立単位に含まれている単位の表現方法も変わります。

 

 

表.SI単位系と重力単位系の違い

  SI単位系 重力単位系
N(=kg・m/s2 kgf
圧力、応力 Pa(=N/m2 kgf/m2
モーメント、トルク N・m kgf・m
エネルギー J(=N・m) kgf・m

 

 

 

SI単位系(N)と重力単位系(kgf)が混在している物性値を扱う場合は、それぞれをどちらかに換算して比較しなければなりません。精密な計算をする時以外は1kgf≒9.8Nとして換算することができます。以下の表は1kgf≒9.81Nとしたときの換算値です。

 

 

表.SI単位系と重力単位系の換算

  SI単位系 重力単位系
換算値 1N 0.102kgf
9.81N 1kgf

 

※下記で単位換算の計算ができます。
技術者のための技術計算ツール 力の単位換算
技術者のための技術計算ツール 応力・圧力の単位換算

 

 

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③SI接頭語


単位でもう一つ気を付けなければならないことが、k(キロ)やM(メガ)などのSI接頭語と呼ばれる記号です。SI接頭語は10の整数乗倍を表します。数値が非常に大きい時や、小数点以下が長く続く時に使用されます。

 

 

表.SI接頭語

 

名称

記号 数値
1012 テラ T  1 000 000 000 000
109 ギガ G  1 000 000 000
106 メガ M  1 000 000
103 キロ k  1 000
102 ヘクト h  100
101 デカ da  10
10-1 デシ d  0.1
10-2 センチ c  0.01
10-3 ミリ m  0.001
10-6 マイクロ μ  0.000 001
10-9 ナノ n  0.000 000 001

 

 

プラスチックの強度設計で頻繁に使われるのは、m(ミリ)、c(センチ)、k(キロ)、M(メガ)、G(ギガ)です。これらの記号が意味する数値は覚えておいた方がよいでしょう。

 

 

 

それでは実際にプラスチックの材料メーカーが公開している物性表を見てみましょう。

 


物性表① デンカ株式会社 「デンカABS 一般物性表」
(出所:デンカ株式会社HP)
http://www.denka.co.jp/resin/product/pdf/abs.pdf 2017年3月16日

 

 


物性表② 東レ株式会社 炭素繊維CF強化ABS物性表
(出所:東レ株式会社HP)
http://product.toray.com/download/pdf/ja_plastics/7001.pdf 2017年3月16日

 

 


物性表③ 新日鉄住金化学株式会社 「エスチレンMBSの一般物性表」
(出所:新日鉄住金化学株式会社HP)
http://www.nscc.nssmc.com/product/download/estyren-mbs.pdf 2017年3月16日

 

 

 

物性表①~③の「曲げ強さ」と「曲げ弾性率」の単位を比較してみます。

 


表.物性表①~③の単位

  物性表①
(デンカ)
 物性表②
(東レ)
物性表③
(新日鉄住金化学)
曲げ強さの単位 MPa MPa kgf/cm2
曲げ弾性率の単位 MPa GPa kgf/cm2 

 

 

同じ物性値でも違った単位で表現されていること分かると思います。物性表①と②はSI単位系、③は重力単位系で書かれています。また、M(メガ)、G(ギガ)、c(センチ)といったSI接頭語も使用されています。物性表を読むだけでも、今回解説した内容が必要なことが分かると思います。

 

 

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【参考文献】

JIS Z8000-1:2014 「量及び単位−第 1 部:一般」

和田純夫(著)、大上雅史(著)、根本和昭(著) ベレ出版 『単位がわかると物理がわかる: SI単位系の成り立ちから自然単位系まで』

 

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最終更新 2017年3月24日
 
 
 

 

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