設計者に必要なプラスチックの知識

設計する製品の材料として、プラスチックが適切かどうかを判断するためには、プラスチックについてある程度の知識を持っておく必要があります。

設計者にとって必要なプラスチックの知識は、以下のように材料、成形法、二次加工の3つに大別できます。

  内容ポイント
材料 プラスチック材料

熱可塑性プラスチック
(PP、ABS、TPEなど)
熱硬化性プラスチック
(PF、UP、PURなど)

製品の要求事項を満足できる材料か
配合剤

添加剤
(難燃剤、抗菌剤など)
充填材
(炭酸カルシウム、ガラス繊維など)

プラスチック材料単体では製品の要求事項を満たせない場合、配合剤により満たすことができるか
成形法基本的な成形法射出成形、押出成形、ブロー成形など製品に要求される形状、性能、外観、コストなどを達成するために最も適した成形法は何か
特殊な成形法多色成形、インサート成形、ヒートアンドクール、3Dプリンター、発泡成形など
二次加工接合溶着
(超音波、レーザー、溶接など)
機械的接合
(ネジ、アウトサート、ファスナーなど)
接着
(接着剤、ホットメルト、粘着剤など)
成形単独では製品の要求事項を満たせない場合、適切な二次加工を選択する。
加飾塗装、転写、印刷など
表面処理脱脂、プライマー、メッキなど
機械加工切削、バリ処理、曲げ、矯正、トムソン、研磨など

 

上記表のようにプラスチックに関連する技術は、非常に幅が広くかつ深いものです。設計者がプラスチックに関するすべての知識を身に付けることは現実的ではないでしょう。設計者はプラスチックだけではなく、他の材料のことや、各種設計法、電気関連、法律・規制、商品企画手法など、身に付けなければならない知識が山ほどあるからです。

 

また、プラスチックに関わる専門業者(専門家)の多くは、その専門分野に特化して仕事をしています。普通の設計者が彼らの知識や経験に追いつくことは非常に難しいと思います。私はたくさんのプラスチック製品の設計・立ち上げを経験してきてましたが、各専門業者(専門家)の支援・アドバイスがなければ絶対に製品を市場に投入することはできなかったと思います。それぐらい各専門業者(専門家)の協力は重要です。餅は餅屋とも言います。設計者は自らの知識を過信せず、それぞれの専門業者(専門家)の協力を引き出すことが重要だと思います。

 

一方で、専門業者(専門家)が特定の専門分野に特化していることは、設計者として注意が必要な面もあります。各専門業者(専門家)は別の分野の知識や経験が少ないことが多いのです。同じ成形でも射出成形の専門業者(専門家)に押出成形のことを聞いても分からないことが多いですし、同じ接合でも溶着加工機の専門業者(専門家)にホットメルトのことを聞いても分からないことが多いのです。(特に「設計」について深い知識がある専門業者(専門家)は多くありません。設計者にとって当然の知識もかみ砕いで説明しなければならないことが頻繁に発生します。)

 

当たり前のことだと思われるかもしれませんが、意外と重要なことです。例えば、押出成形という技術があることを設計者が知らない場合、射出成形の専門業者(専門家)に仕事を依頼することが多いと思います。特定の条件の元では押出成形が最も低コストで生産できるとしても、それを射出成形の専門業者(専門家)からアドバイスを受けることは期待できないのです。

 

つまり、設計者はプラスチック関連技術の全体像を理解しつつ、設計する製品の材料として、どのようなプラスチック、成形法、二次加工が適切なのかの「方向性」を見極められるスキルを身に付けることが重要だと思います。「方向性」させ見極められれば、後は「餅屋」に相談しながら設計を進めることができます。

 

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最終更新 2016年5月10日
 
 
 

 

<設計者のためのプラスチック製品設計>

 

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