荷重たわみ温度(temperature of deflection under load)

温度の上昇とともにプラスチック材料の硬さ(弾性率/ヤング率)は低下していきます。その低下量が一定以上になる温度が荷重たわみ温度です。熱変形温度ともいわれます。ビカット軟化温度とともに、プラスチックの短期的な耐熱性を示す基本的評価項目の一つです。

 

下記表に主なプラスチックの荷重たわみ温度を示します。

 

表.主なプラスチックの荷重たわみ温度(※1)

  荷重たわみ温度 Tf0.45
(0.45MPa)
荷重たわみ温度 Tf1.8
(1.8MPa)
結晶性
プラスチック
PE 65~75℃
(HDPE)
40~50℃
(HDPE)
PP 90~115℃ 50~70℃
PA 170~190℃
(DRY)
60~70℃
(DRY)
POM 150~165℃ 100~110℃
PET 65~70℃
PBT 150~165℃ 55~75℃
非晶性
プラスチック
PVC 70~80℃
PS 70~80℃
PMMA 85~105℃
ABS 75~90℃
AS 80~90℃
PC 135~145℃ 120~130℃

※試験方法:ISO 75(JIS K7191)

 

 

ISO 75(JIS K7191)に基づいて、荷重たわみ温度の測定方法を簡単に説明します。

 

 

 

 

3点曲げで試験片に規定の応力が発生するように荷重Pを設定します(※2)。応力はA~C法の3種類が規定されており、通常A法かB法が使用されます。

 

設定した荷重Pを負荷した後、120℃/hrのスピードで温度を上げていきます。曲げひずみの増加分が0.2%になったときの温度が荷重たわみ温度です。

 

A法(1.8MPa)とB法(0.45MPa)では、A法の方が荷重たわみ温度は小さくなります。B法よりA法の荷重が大きいため、低い温度で規定の変形量(曲げひずみの増加0.2%)に到達するためです。

 

結晶性プラスチックと非晶性プラスチックでは、結晶性プラスチックの方がA法とB法の差が大きくなる傾向にあります。結晶性プラスチックと非晶性プラスチックにおける弾性率の温度特性が異なることが理由です。

 

 

 

 

荷重たわみ温度を材料の使用上限温度だと勘違いしないようにすることが重要です。あくまで硬さ(弾性率/ヤング率)に関する短期的な耐熱性を示す指標に過ぎません。材料の特性が変化する温度の目安として、また、室温で同じ弾性率を持つ材料同士の耐熱性比較などに活用するとよいでしょう。

 

材料メーカーが公開している物性表には、ISO(JIS)のA法・B法とASTM D648が混在しています。物性表を見るときは試験条件をよく確認するようにしましょう。

 

 

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<参考記事>
結晶性プラスチックと非晶性プラスチックの特徴
ビカット軟化温度

 

 

※1 値は各材料の非強化・標準グレード品について、下記文献のデータを参考に筆者が整理した。

材料メーカー公開の物性値 
・江坂 明 、 柿本 雅明(監修) 『耐熱性高分子電子材料の展開』
・本間 精一  『プラスチック材料大全』
・Devesh Tripathi 『Practical Guide to Polypropylene』
・George Wypych 『Handbook of Polymers』

 

※2 この計算ははりの強度計算の計算式を使用する(下記ページ参照)
はりの強度計算【両端単純支持-集中荷重―長方形】

 

 

【参考文献】
JIS K7191 「プラスチックー荷重たわみ温度の求め方ー」

 

 

 

最終更新 2017年10月13日

 

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