はじめに

私たちの身の回りはプラスチックを使った製品で溢れています。家電製品、住宅設備、玩具、自動車、航空機など、プラスチックを使っていない製品を探す方が難しいでしょう。今の時代、どのような業界の設計者であっても、プラスチックの知識と無縁でいることできないのではないでしょうか。
 
 
 
様々なプラスチック製品
 
 
私は製品設計者として、住宅設備業界で10年以上仕事をしてきましたが、設計で使っていた材料の半分ぐらいはプラスチックでした。関わったことのある成形法や材料などは以下のようなものです。
 
  内容
材料 ABS、ASA、PP、EPP、PE、PVC、POM、TPE(TPO、TPU、TPS)、ウレタンフォーム、シリコーン、熱硬化性樹脂(SMC、BMC、GFRP、CFRP、注型)、各種添加剤など
成形法 射出成形、押出成形、プレス成形、注型、引抜成形、ブロー成形、シート成形、真空成形、ラミネート成形、発泡成形、3Dプリンター(積層法、光造形)など
二次加工 塗装、超音波溶着、印刷、プラスチックメッキ、各種接着、ホットメルト、トムソン、アウトサート、研磨など
 
 
プラスチック製品を設計することは、一般に考えられているよりも難しいことです。プラスチックが原因の大きなクレームを何度も見てきましたし、自分自身も不具合対策のために金型を修正するなど、会社に損害を与えることが何度もありました。
 
 
設計が難しい理由の一つは、たくさんの専門業者の存在です。以下の表のように、プラスチック製品の専門業者は細分化されています。また、図のように取引も一般的には成形加工メーカーを中心に、伝言ゲームのような様相を呈します。(図は取引の一例を示す。商社や外注企業が加わるなど、さらに複雑な取引になることも多い)
 
 専門業者 内容
製品設計 製品の要求事項に応じた材料、添加剤、成形法、二次加工法など選んで設計を行う。
成形加工 射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形など
(特定の成形方法に特化している企業が多い)
成形加工機 射出成形機、ブロー成形機、押出成形機など
成形加工付属機械 乾燥機、成形品取出機、粉砕機、温調機など
二次加工 塗装、印刷、接着、溶着、切断、切削、組立、メッキ、フィルム貼リ合わせ、研磨、曲げなど
二次加工機 パッド印刷機、超音波溶着機、振動溶着機、NC工作機など
金型 各種成形法に合わせた金型の設計・製造
材料 PP、ABS、PEなどのバージン材の製造、金型材料の製造
配合剤 紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、難燃剤、着色剤、ガラス繊維、炭素繊維など
コンパウンド  用途に合わせ材料と各種配合剤を混練
 
 
pla-flow 
プラスチック製品立ち上げまでの取引の一例 
 
 
設計者は各専門業者に対して製品の要求事項を漏れなく伝え、QCDを満足させた製品を納品してもらう必要があります。経験の浅い設計者は、どの専門業者に、どのような要求事項を伝えればよいのかが分かりません。そのため、必要な情報が伝わらず、不具合が発生してしまうのです。
 
設計が難しもう一つの理由は、プラスチック製品の設計を学ぶよい手引書がないことです。プラスチック関連書籍は非常にたくさんあるのですが、設計者として知りたい情報が意外に載っていないのです。プラスチック関連書籍のほとんどが、設計者ではないそれぞれの分野の専門家が書いたものだからだと思います。
 
 
そこで本シリーズ「設計者のためのプラスチック製品設計」は、設計者の視点で、「どうすればよいプラスチック製品を設計することができるか」に焦点を絞り書いていこうと思います。
 
 

スポンサードリンク

 
 
 
 
最終更新 2017年7月27日
 
 

 

 

 

<設計者のためのプラスチック製品設計>

 

更新日:

Copyright© 製品設計知識 , 2017 All Rights Reserved Powered by AFFINGER4.