設計効率の向上(設計工数の見える化と改善サイクル)

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設計効率は設計部門のアウトプットである「製品のQCD」と密接な関係があります。なぜなら、ほとんどの企業で設計部門がかけられる設計工数には限界があり、人材の能力もそう簡単には変化しないからです。それは競合他社も同じ条件であり、限られた設計工数を効率的に使える企業の方が、より高い競争力を得ることができます。

 

しかし、多くの企業で設計部門における設計効率に対する認識は希薄なようです。様々な業界の設計者にヒアリングしていますが、ルーティン的な業務をしている部門を除くと、設計効率を意識した仕事をしている企業はかなり少数派です。確かに設計という仕事の特性上、効率を測ることは簡単ではありません。顧客や経営トップの意向で、設計条件が急に変わることもしばしばです。また、自社内の違う部門の都合により、設計変更を余儀なくされることもあります。

 

製品の種類や設計内容にもよりますが、基本的に設計は非常に複雑な仕事です。設計部門は顧客や市場という捉えどころのない対象のニーズを読み取って、設計に織り込まなければなりません。また、限られた経営資源(人、モノ、金、情報)で、そのニーズを満たす必要があります。”ヒット商品開発マニュアル”のような書籍もありますが、そう簡単にマニュアル化できるような仕事ではないことは、多くの設計者が感じていることでしょう。近年話題のAI(人工知能)も、設計の本質的な部分での活用は、最も遅くなる分野の一つになるのではないかと考えています(周辺業務では既に活用が始まっています)。

 

私は設計効率向上に長く携わって来ましたが、劇的に効率が向上するような魔法の方法はないというのが現時点での結論です。地道な改善活動(PDCA)を繰り返していくしかないのです。

 

 

 

設計効率向上のポイント


以下の図は設計効率を向上させる方法を考える上で、代表的なポイントを表したものです。

 

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<設計部品点数>
同じ機能・性能・コストで製品を設計できるのであれば、新規に設計する部品点数が少ないほど、設計効率は高くなります。また、設計の考え方を流用するという方法でも、新たな考え方の設計をすることに比べて、設計効率は大幅に向上します。もちろん、設計という仕事は、創造性を発揮して付加価値を製品に加えることが、大きな役割の一つです。部品の共通化や新規設計の削減は、設計者の創造性発揮の場面を減らすことにもつながります。設計効率一辺倒ではなく、バランスを考えることにも留意するべきでしょう。

 

<人材>
設計者、各技術の専門家、レビュア、設計の仕組み構築者(管理者)などの人材のスキルが向上すれば、設計効率は大きく向上します。設計者だけではなく、設計部門全体で、どのような人材(役割)が必要なのかを考え、育成していかなければなりません。

 

参考記事:設計不良を防止するための「人材の役割」

 

<設計資産(ナレッジ)>
人材のスキルが同等であれば、設計資産(ナレッジ)が充実するに従って設計効率は向上します。また、先行開発が完了した後に実際の設計を進める場合も、量産設計に耐えうるようなナレッジを蓄積しておくことが、実際の設計効率に大きな影響を及ぼします。

 

<設計プロセス>
各企業における設計の進め方(企画⇒基本設計⇒詳細設計など)の良し悪しも設計効率に大きく影響します。ムダ、ムラ、ムリがあるような設計プロセスでは、いかによい人材が揃い、設計資産が充実していても、設計効率は向上しません。MECE(ミーシー)の考え方に従って、ムダのない設計プロセスを構築することが重要です。設計ツールや各種手法も、すべての設計部門で共通して使えるようなものはほとんどありません。自社の状況に合わせて中身を改善していきましょう。

 

参考記事:設計プロセス構築におけるMECE(ミーシー)の考え方

 

 

 

設計工数の見える化と改善サイクル


設計効率向上のファーストステップは、設計部門あるいは設計者が、どの仕事にどれだけの工数かけたのかを見える化することです。見える化ができない限りは、改善は遅々として進まないでしょう。確かに設計工数を定量的に計測することは簡単ではありません。しかし、それが設計工数を見える化しない理由にはならないでしょう。私は設計者時代に、朝の5分を使って前日の業務時間をエクセルに記入していました。下記は2011年11月の私の工数表です(意図的に見えにくくしています)。

 

 

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ざっくりとした時間でもよいのです。とにかく毎日続けます。そして、設計者個人だけではなく、チームやグループでも同様に見える化します。数年続けると、どのような仕事にどの程度の工数がかかっているのかがだんだん見えてきます。そして、工数がかかっているところから、設計のやり方を改善していきます。こういった改善サイクルを地道に回すことが、設計効率を向上させていくのです。

 

 

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