【設計者のための本】事故がなくならない理由 安全対策の落とし穴

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『事故がなくならない理由(わけ): 安全対策の落とし穴』  
芳賀繁 (著)  PHP新書

 

 

リスクと人間の心理の関係について、産業心理学、交通心理学が専門の著者が自動車事故を中心に解説した本です。人間の心理を無視した安全対策では、製品やシステムなどの安全性は向上しないと説いています。それは、リスクを取ることは人にとって利益につながるので、安全対策でリスクが減った場合、人はさらにリスクを取るようになるからです(リスク補償行動)。

 

また、リスクは人(専門家か素人かなど)や条件(未知か恐ろしいかなど)によって、感じ方が全く異なるものだということについても、多くの実例や根拠とともに解説しています。その他にも、正常性バイアスやリスク・コミュニケーションなど、リスクの本質について様々な角度から解説されており、製品安全に関わる設計者にはお勧めの本です。

 

 

2~3年前に一度読んだ本ですが、製品安全に関する資料を作成するために再度読み返しました。製品設計において、リスクを許容されるレベルまで低下させることは社会的要請です。しかし、そのレベルを定量的に判断することは容易でありません。

 

近年、技術の進化に伴い、製品やシステムはますます機能安全に傾斜しつつあります。機能安全により安全性が高まるのであれば、それは歓迎すべき事ですが、リスクの本質を理解しない設計者が、安易に機能安全のみで安全を担保することは非常に危険なことだと思います。そういう意味で、設計者がリスクの本質についての理解を深めておくことは非常に重要なことではないかと思います。

 

 

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