フールプルーフ

使用者が誤った使い方(誤使用)をしても、安全性や信頼性を確保する設計の考え方がフールプルーフです。

下記の記事でも解説した通り、製品設計では、「ものは壊れる」「人は間違える」ことを前提とすることが求められます。また、リスク低減の方法は危害の程度を小さくするか、発生頻度を下げるかの2つの方法があります。

 

関連記事:製品安全を実現するための設計方法

 

フールプルーフは「人は間違える」「発生頻度を下げる」に対応した設計方法です。

foolproof

3ステップメソッドに従えば、まず優先すべきは危害の程度を低減することです。(多くの場合、フールプルーフにより危害の程度を低減することはできません)

 

関連記事:3ステップメソッド(全6ページ)

 

しかし、危害の程度を十分に低減することは、難しいことが多いのが現実です。また、製品事故の多くは、使用者の誤使用に起因します。したがって、使用者の誤使用に対応するフールプルーフは、製品安全を確保する上で、フェールセーフと並んで重要な手法と言えます。

 

関連記事:フェールセーフ(全2ページ)

 

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フールプルーフは身の回りの製品でたくさん見ることができます。次ページから事例を紹介しますが、その前に、フールプルーフを行う上でのポイントをいくつか話しておきたいと思います。

 

①製品の使われ方の見極め


フールプルーフは使用者の誤使用への対策ですので、製品がどのように使われるかをしっかり見極める必要があります。しかし、想定されるすべての使われ方に対して対策を施していては、市場で受け入れられるコストで製品を作ることはできません。したがって、どのような使われ方まで対応するかを見極めることが重要になります。

一般的には、使用者の「意図する使用」「予見可能な誤使用」において安全性を確保することが求められています。設計者はこの「意図する使用」「予見可能な誤使用」において、フールプルーフなどを駆使しながら、安全を確保していかなければなりません。

 

以下に参考記事を掲載していますので、チェックしてみてください。

参考記事:プラスチック材料を使った製品の「使われ方」の見極め

 

②使用者のフールプルーフ慣れ


私たちの身の回りの製品は、これまでの多くの設計者・技術者の努力により、フールプルーフが当たり前となっています。多少の誤使用をしても、すぐに怪我をするようなことはほとんどありません。

一方で、フールプルーフな製品に囲まれて生活をしていると、使用者の危険予知能力はどんどん低下していきます。このことは、設計者が十分に認識しておかなければならないことです。ガス調理器具の火を付けたまま放置する、電気製品に水を掛けるなどは、現代の使用者は普通やりません。

しかし、ガス調理器具は過熱防止装置や立ち消え防止装置の設置が義務付けられましたし、スマートフォンは防水仕様が当たり前になっています。10年後、20年後の使用者が、ガス調理器具の危険性や電気製品が水に弱いということを認識できなくなることは、あり得ない話ではありません。

将来的には今では考えられないような誤使用もあり得ると考えておく必要があるのです。

 

③フールプルーフと同様の意味で使われている安全設計手法


下記はフールプルーフと同じような意味で使われている安全設計手法です。すべてフールプルーフの一種と考えてよいでしょう。本稿では特に区別せずに事例を紹介していきたいと思います。

  内容
チャイルドプルーフ
(チャイルドレジスタンス)

子供が簡単に操作・使用できないようにすることにより、危険源へのアクセスを防止する設計の考え方。

 

薬の誤飲防止包装(チャイルドレジスタント包装)、子供が簡単に操作できないCRライター(チャイルドレジスタンス機能付ライター)など、多くの製品で活用されている。

タンパープルーフ
(タンパーレジスタンス)

許可されていない改造や修理、いたずらなどにより、製品の機能低下や危険源へのアクセスなどを防止することを目的とした設計の考え方。

 

専用工具が必要なネジが代表的な事例。

インターロック

一定の条件を満足しない限り、機械が作動しないようにする仕組みのこと。

 

機械が作動中にフェンスの扉を開けた時に、機械が停止するような仕組みが典型的。家電製品などでも多用されている。

 

次ページからは、身の回りの製品のフールプルーフ事例を見ていきます。フールプルーフは多種多様な方法があります。アイデア次第では、コストも上げずに安全性を高めることも可能です。たくさんの事例を知り、自社製品の設計に活かしてください。

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最終更新 2016年8月4日

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投稿日:2016年8月4日 更新日:

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