椅子のリコール(2006年~2009年編)

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椅子のリコールについて調べてみました。   シンプルな製品の割には数多くのリコールが発生しています。おそらく以下のような理由でリコールにつながっているのではないかと推測します。設計者としてはこれらの事例を「他山の石」としたいですね。また、設計的にはリスクが高い製品だとの認識も必要だと思います。  

 

<使用環境>
・成人用の椅子の場合、最大100kg近い荷重がかかる可能性がある。
・長時間使用されるため、負荷がかかっている部位のクリープが発生しやすい。(特に樹脂部材)
・長期間使用されるため、経年劣化が発生しやすい。 ・繰り返し荷重による疲労破壊、ネジの緩みが発生しやすい。
・使用者が勢いよく座ることもあるので、衝撃荷重が発生しやすい。
・4本の脚のうち1本のみに荷重をかけるような「誤使用」が発生しやすい。
・使用者にとってリスクの高い製品という認識が低いため、日常の点検などがおろそかになる。  

 

<製品>
・不具合が即転倒につながる製品である。
・リクライニング機能やガススプリングの使用など、多機能化している。
・原価を抑えるために、フェールセーフ設計が十分ではない。
・市場ストックが非常に多い。(2台/人所有と仮定すると、国内に2.5億台以上あることになる)
・輸入品が多い。(輸入品のリコール率は高い)  

 

<企業>

・リスクが高いとの認識がなく、設計者のスキルや企業の設計体制が十分ではない。 (設計担当者は一人かつ片手間、というような組織体制ではないだろうか。)
・リスクが高いとの認識がないまま海外生産や輸入をするなど、管理体制が十分に取れていない。
・製品の安全や性能に関する社会的な要求レベルが高くなっており、小さな不具合でもリコールに踏み切らざるを得ない。  

 

 

ちなみに不具合の原因トップ3は以下の通りです。もし椅子を設計する機会があれば十分にご注意ください。

 

①溶接不良
②強度不足
③ネジ緩み  

 


  実際のリコール・社告事例(2006年~2009年)

 

  ニトリ株式会社

公表 2006年1月
製造・販売時期 2004年7月~2005年10月販売
不具合事象 ごくまれに肘が折れる可能性のあるものが含まれている
被害の発生 不明
可能性のある被害 不明
原因 不明
対応 回収

nitori3

出典:ニトリHP    

 

 

ニトリ株式会社

公表 2006年1月
製造・販売時期 2004年11月~2005年7月販売
不具合事象 ごくまれに脚が折れる可能性のあるものが含まれている
被害の発生 不明
可能性のある被害 不明
原因 不明
対応 回収

nitori2

出典:ニトリHP  

 

 

  ニトリ株式会社

公表 2006年2月
製造・販売時期 2004年12月~2005年11月販売
不具合事象 シリンダー受け金具の溶接部分に不具合のあるものが混入した可能性がある
被害の発生 不明
可能性のある被害 不明
原因 不明
対応 回収

  nitori

出典:ニトリHP    

 

 

コクヨファニチャー株式会社

公表 2006年7月
製造・販売時期 2003年12月~2006年1月製造
不具合事象 背もたれの樹脂が急速な経時変化による強度低下
被害の発生 不明
可能性のある被害 (筆者推定) 使用者の後方への転倒(重傷を負う可能性あり)
原因 (筆者推定) 樹脂製背もたれの経年劣化、クリープ (可能性:材料の選定ミス、肉厚不足、荷重負荷想定ミス、評価試験方法ミス 等)
対応 交換

  kokuyo1

出典:nite HP    

 

 

ヤマハ株式会社

公表 2006年8月
製造・販売時期 2006年1月~7月販売
不具合事象 座板の上下調整ができない。
被害の発生 なし
可能性のある被害 「座板の片方が下降し傾く可能性がある。座板が高い状態にある場合は、傾きが大きくなり、演奏者がバランスを失い転倒する恐れがある。」(ヤマハHPより)
原因 昇降機後部の溶接不良
対応 点検

  yamaha

出典:ヤマハHP    

 

 

アロン化成株式会社

公表 2007年3月
製造・販売時期 2005年5月~11月工場出荷分
不具合事象 固定ネジの緩みや脱落が発生する可能性
被害の発生 なし
可能性のある被害 「万が一使用中にネジが外れた場合、転倒し尻もちをつく等事故につながる危険性があります。」(アロン化成HPより)
原因 ネジの「緩み止め接着剤」塗布が規定量に達していない
対応 交換・回収

  aron1 浴室用椅子

 出典:アロン化成HP    

 

 

株式会社スマイル(輸入者)/アスクル株式会社(販売者)

公表 2007年10月
製造・販売時期 2006年8月~2007年9月販売
不具合事象 脚部と座面がはがれる
被害の発生 なし
可能性のある被害 「使用中に転倒される恐れも考えられる」(niteHPより)
原因 接着不良
対応 点検及び部品修理、交換、回収

  askul

出典:nite HP  

 

 

ロアス株式会社

公表 2007年11月
製造・販売時期 2007年1月製造
不具合事象 脚ベースに不具合があり、破損に至る可能性
被害の発生 不明
可能性のある被害 (筆者推定) 転倒
原因 不明
対応 交換回収

 

 

株式会社内田洋行

公表 2008年6月
製造・販売時期 2000年1月~2005年4月製造
不具合事象 座部傾斜機構の溶接に不具合があり、座部がぐらついたり外れたりする可能性
被害の発生 不明
可能性のある被害 不明
原因 溶接不良
対応 交換回収

  utida

出典:内田洋行HP    

 

 

プラス株式会社

公表 2008年7月
製造・販売時期 2000年1月~2002年4月製造
不具合事象 座面と脚部をつなぐ箇所に不具合
被害の発生 不明
可能性のある被害 (筆者推定) 転倒
原因 不明
対応 点検・交換

plus

出典:nite HP    

 

 

タマリビング株式会社

公表 2008年7月
製造・販売時期 2005年9月~2006年7月製造
不具合事象 脚ベースに不具合があり破損に至る可能性
被害の発生 不明
可能性のある被害 (筆者推定) 転倒
原因 不明
対応 回収・交換

tama

出典:nite HP    

 

 

株式会社岡村製作所

公表 2009年3月
製造・販売時期 2002年12月~2006年7月製造
不具合事象 座をフレームに保持している後部ボルトが緩み、脱落する可能性
被害の発生 なし
可能性のある被害 (筆者推定) 転倒
原因 ボルト接着剤の塗付不足
対応 点検・修理

okamura

出典:岡村製作所 HP    

 

 

コクヨファーニチャー株式会社

公表 2009年10月
製造・販売時期 2005年6月~2009年7月製造
不具合事象 使用中に後脚の接合部が緩み外れる可能性
被害の発生 不明
可能性のある被害 「転倒し怪我をする恐れ」(コクヨHPより)
原因 不明
対応 点検・修理

kokuyo2

出典:コクヨ HP  

 

 

イケア・ジャパン株式会社

公表 2009年12月
製造・販売時期 2009年8月~2009年12月販売
不具合事象 使プラスチックシートのフレーム固定部が破損し、シートがフレームから抜け落ちるおそれがある
被害の発生 子供がシートごとフレームをすり抜けて落下し両足を打撲1件 プラスチックの破片を子供が口に入れてしまった1件(被害なし)
可能性のある被害 「落下した際に頭などをケガしたり、プラスチックの破片を誤って口に入れて窒息するおそれ」(イケア・ジャパンHPより)
原因 (筆者推定) 樹脂部分の強度不足
対応 回収

ikea1

幼児用椅子 出典:nite HP  

 

次回「椅子のリコール(2010年~2014年編)」に続く  

 




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