【設計者のための本】製品開発の心と技 設計者をめざす若者へ

投稿日:2015年7月8日 更新日:

 

 

『製品開発の心と技―設計者をめざす若者へ』
安達瑛二(著) コロナ社

 

 

1970年代から80年代にかけてトヨタで主査(製品開発責任者)を務めた著者が、自動車の製品開発における「心、技、執念」について、その思いを詳細に至るまで記した力作です。 

 

 

私は、なぜ自動車産業がこれだけの国際競争力を保っているのかについて、非常に興味を持っています。電子部品や材料などでは日本企業に優位性のある分野もありますが、消費者の元に届けられる最終製品で、国際競争力を持っている大きな産業は自動車産業ぐらいしかないのではないでしょうか。   考えられる強さの理由としては、トヨタ生産方式だとかすり合わせ能力だとか、色々と言われていますが、製品開発力が優れているのは間違いないと思います。その製品開発力の基礎を作って来た技術者の言葉は、腹に落ちるものがありました。

 

設計者の方はぜひ読んでいただきたいと思います。

 

 

以下で特に気になった言葉を抜粋して紹介します。  

 

『絶え間ない努力によっても、開発段階で達成できない部分もあります。その中でも最も難しいのは開発日程の管理です。』

『設計思想のひとつは「Simple is best」です。優れた設計であるほど結果は簡易な製品となる、簡易な製品ほど優れた製品となるということです。』

『設計思想のひとつは「四つの無駄(機能の無駄、部品の無駄、材料の無駄、加工の無駄)の排除」です。』

『設計における最大の問題点は、市場における商品の使用条件の把握です。十分な技術を持つ企業の商品が品質問題を起こす原因の一つはここにあります。新技術を使う場合も、品質問題の原因の多くは新技術そのものよりも使用条件不明にあります。』

『できるだけ理詰めの設計を行い、理詰めにできない部分に限って、「勘による設計(『えいやっ式の設計』と呼ぶ)をすれば、性能品質の良い製品にできます。』

『技術者には、持てる知識を総動員してなぜできないかを考える習性があります。どの製品開発でも、新提案にはまず反対する、不可能だという、工学理論を駆使して、不可能の根拠を示す、という傾向があります。(途中省略)不可能に見えるものをやり抜くのが製品開発だと覚悟すれば、工学理論と技術とを「どうすればできるか」に使い、「なぜできないか」に使ってはならないとわかるはずです。』

 

 

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