『「水素社会」はなぜ問題か―究極のエネルギーの現実』
小澤祥司(著) 岩波ブックレット
「水素社会」実現に否定的な立場から書かれた、環境ジャーナリストの著者による77ページのブックレットです。エネルギー効率が思うほど高くないことやインフラの問題、原子力政策の混迷など、「水素社会」実現にはたくさんの課題があり、その成立自体も疑わしいと主張しています。また、”バラ色の未来”論ばかり目立ち、きちんとした検証を行っていないメディアの報道も批判しています。
最近、燃料電池車や水素ステーションなど、水素関連のニュースを毎日のように耳にし、何となく「水素社会」到来が既定路線のような雰囲気を感じます。「水素社会」推進の立場からの情報だけでなく、色んな角度からの情報を得たいと思い手に取りました。「水素社会」実現は既定路線ではなく、実現するどうか自体が五分五分ぐらいの大きな賭けなのかもしれません。
先日、九州大学の水素関連研究施設を見学に行く機会があり、「水素社会」について考えるきっかけとなりました。九州大学では燃料電池の研究や水素ステーションに使う材料の試験などを地道に積み重ねており、日本の水素関連技術は世界でもトップクラスだそうです。個人的にはその積み重ねた技術やノウハウを生かして、国際競争力のある水素関連製品を作ってほしいと思っています。
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