『ものづくりの反撃』
中沢孝夫、藤本隆宏、 新宅純二郎 ちくま新書
中小企業論が専門の中沢孝夫教授、生産管理論が専門の藤本隆宏教授、 経営戦略論が専門の新宅純二郎教授が、対談形式で日本のものづくりについて語っている本です。IoT、インダストリー4.0といった考え方に対し、「プロパガンダやプロモーションの部分と、現実の進行部分をしっかりと見分けなければならない」と警鐘を鳴らしています。また、それぞれの専門の立場から、日本のものづくりの強み(弱み)の原因について、豊富な現場調査事例を元に解説しています。
御3方の著書はいくつか拝読させてもらっており、本著の内容は既に語られていることがほとんどだと思います。しかし、現在大流行のIoTやインダストリー4.0の考え方を批判的に捉えた本は少ないと思いますし、日本のものづくりの強み(弱み)を再度確認するという意味でもお勧めの本です。
最近はIoTやインダストリー4.0などの言葉を目にしない日がないぐらいです。政府の補助金でもIoT関連のテーマが有利になる状況もあり、インターネットを使ってビジネスをしていればIoTだと言っている中小企業も珍しくありません。
IoTやインダストリー4.0などが今後定着しビジネスとして確立するのか、単なるバズワードとして忘れ去られてしまうのか現時点では分かりません。下記のドラッカーの言葉が、何らかのヒントになるかもしれません。
(変化が本物かどうかの)見分け方は簡単である。本物の変化とは人が行うことであり、一時の変化は人が言うことである。話ばかりに出てくるのは一時のものである。