『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』
松尾豊(著) 角川EPUB選書
人工知能の研究者である著者が人工知能について解説している本です。著者は近年最も注目されている人工知能の技術であるディープラーニングを「人工知能研究における50年来のブレークスルー」とし、これまで何度かあった人工知能ブームとは、今回は全く異なるものだという認識をしています。私も本格的に人工知能が私たちの働き方を大きく変えるのではないかと感じており、人工知能関連の本を何冊か読みました。これはその中でも非常に分かりやすい本でした。
設計業務は設計者や設計管理者の意志だけではなく、顧客、ユーザー、営業部門など様々な人の意志を反映させなければならず、典型的な「悪構造問題」と言えます。したがって設計業務について言えば、設計者の仕事がそう簡単に人工知能に置き換わらないとは思いますが、それでも設計者の働き方や仕事のやり方に、何らかの影響があることは間違いないでしょう。例えば株式会社UBICは特許文書の調査を人工知能に支援させるシステムを実用化しています。
各種設計基準や過去トラブルなどを人工知能が分析し、設計に問題がないかをチェックする時代もそう遠くないように思われます。設計者は人工知能が得意なことと不得意なことを理解し、必要であれば自分たちの働き方の見直しも進めていく必要があるのではないかと思います。