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材料は温度が変わると伸縮します。伸縮することにより必要な寸法を満足できなかったり、熱応力が発生したりしますので、熱変形を考慮しておくことが重要です。
プラスチックなどの線膨張係数が大きい部品では、寸法検査時の雰囲気温度の違いにも大きな影響を受けます。線膨張係数が110(10-6/℃)、長さが200mmのプラスチック部品の場合、雰囲気温度による寸法差は以下のようになります。
雰囲気温度 | 寸法 |
5℃ | 199.67mm |
10℃ | 199.78mm |
20℃ | 200.00mm |
30℃ | 200.22mm |
35℃ | 200.33mm |
5℃(真冬)と35℃(真夏)では熱変形だけで0.66mmの違いが出るということです。図面や仕様書には寸法許容差だけではなく、寸法検査時の雰囲気温度も明示しておくことが重要です。
伸縮の大きさは材料によって異なり、その大きさを示すのが線膨張係数です。以下に主な材料の線膨張係数を示します。
表.主な材料の線膨張係数
材料 | 線膨張係数 (×10-6/℃) |
|
プラスチック |
ポリエチレン(PE) | 高密度: 110 低密度:150 |
ポリプロピレン(PP) | 110 | |
ポリ塩化ビニル(PVC) | 硬質:70 軟質:150 |
|
ポリスチレン(PS) | 70 | |
ポリメタクリル酸メチル(PMMA) | 80 | |
アクリロニトリル・ブタジエン・ スチレン(ABS) |
70 | |
ポリアミド(PA) | 80 | |
ポリアセタール(POM) | 110 | |
ポリエチレンテレフタレート(PET) | 60 | |
ポリブチレンテレフタレート(PBT) | 110 | |
ポリカーボネート(PC) | 70 | |
金属他 |
亜鉛 | 30.2 |
アルミニウム | 23.1 | |
金 | 14.2 | |
ダイヤモンド | 1 | |
鉄 | 11.8 | |
銅 | 16.5 | |
ステンレス鋼 | 14.7 | |
炭素鋼 | 10.7 | |
真ちゅう(黄銅) | 17.5 |
プラスチックの線膨張係数
プラスチックは同じ材料でもグレードにより値に大きな幅があります。また、ガラス繊維の配合や樹脂の流れ方向の違いなどにより、値が顕著に変化します。実際の設計で計算する際は、使用するグレードの物性表で確認してください。
プラスチックの線膨張係数の単位は、10-5/℃で記載されることが多いですが、本稿では金属材料などで一般的な10-6/℃に合わせています。
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熱応力の計算
【参考文献】
理科年表(2017)
プラスチック材料メーカー各社の物性表
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