今の仕事をするようになってから分かりましたが、中小製造業にとっては、技術的な面よりも販路開拓や営業力強化が大きな課題になっています。
金属3Dプリンターによるブレーキペダル
(2016年設計・製造ソリューション展@東京ビッグサイト)
どうしたら自社の製品や技術が採用されるのでしょうか。色々なやり方があると思いますが、本記事では私が会社員時代から感じていたことを一つ述べてみます。
何を感じていたかというと、
ほとんどの営業さんは我々(顧客)の製品を詳しく知らない
ということです。
売り込みに来る営業さんのほとんどは、自分たちの製品や技術の紹介はするものの、最後には「何かに使えませんかね~?」という「御用聞き」のスタンスです。我々の製品を細かく知らないので、紹介する製品や技術も的外れになりがちです。顧客にとって価値のある提案をすることもなかなかできません。
多くの営業さんは、毎日のように顧客や開拓したい潜在顧客に対して、アポを取り面会を繰り返していると思います。多くの営業さんにとっては、それが仕事のかなりの部分を占めているはずです。すべての顧客の製品を詳しく知るような時間はないと思われるかもしれませんが、非効率な営業活動をする方がよほど問題があります。
私も会社員時代、たくさんの中小製造業の営業さんから、各社の製品や技術の紹介を受けていました。そして、そのような面会をきっかけに採用に至るケースは非常に少なかったと記憶しています。
設計者はたくさんの企業から同様の紹介を受けています。しかも、ほとんどの設計者は超がつくほど多忙です。紹介を受けた製品や技術を詳しく検討する余裕はありません。よほどよい技術か、たまたま設計者がほしい情報だったというような時ぐらいしか、採用につながることはないでしょう。
自社の製品や技術を売り込みたいのならば、顧客の製品を知り、自身の製品や技術が役に立つ部分を、営業さん側から提案することが大切なのです。自社製品が顧客の製品のどのような部位に使えば、コスト低減ができるとか、性能が向上するなどといった提案をすること競合他社との違いを生みます。
顧客の製品を知る方法はたくさんあります。各社のホームページやカタログを入念に見てもよいでしょう。顧客の製品が入手できるのであれば、入手して分解すれば、どのような提案が可能かのアイデア出しが可能です。住宅設備や自動車などであれば、ショールームや販売店に行き、製品を詳しく調査するのもよいでしょう。顧客が展示会に出展していれば、チャンスです。他のお客さんが少ない時間帯に、製品について解説してもらいましょう。
顧客の製品を知れば、自社の技術開発の方向性も見えてきます。多くの中小製造業が「御用聞き」止まりとなっている中で、自社が積極的に提案できるようになれば、販路開拓の力は格段に向上するでしょう。
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