救急医と一般医

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医者には救急医と一般医がいます。(本記事では救急医ではない医者を一般医と呼びます)

 

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救急医は患者の命を救うために、限られた情報の中で、しかも短い時間で判断することが求められます。一般医は、患者の命を救うという目的は同じですが、緊急性が低いため、ある程度の時間をかけて必要な情報を集め、対応方法を決定します。両者の目的は同じですが、仕事の進め方が異なっていると考えることができます。

 

医療関係者によると、救急医の経験がある医者は、患者が急変した時の対応や仕事の段取りが上手な人が多いそうです。限られた情報や設備、時間で、患者の命を救うという経験が、そのスキルを向上させているのだと思います。

 

私は設計・開発の現場で長く仕事をしていますが、設計者にも同様のことが言えると感じています。設計・開発の場合、一般医は標準品設計(量産品)、救急医は特注品設計(一品ものなど)やトラブル対策です。

 

標準品の場合は、数か月から長いものでは数年のスパンで製品を設計していきます。数量が多いため品質問題が発生した場合のダメージが大きく、また、厳しいコスト競争にも勝つ必要があります。そのために設計者は、長い時間をかけて必要な情報を集めます。 短い時間で何かの判断を迫られることは少なく、ある程度の時間をかけてでも、ミスのない判断をすることが求められます。 一般医が患者の状態をレントゲンやCT、各種検査などで詳しく調べて、方針を決めるのと同じことです。

 

一方で、特注品やトラブル対策は、短期間で設計をするケースが多くなります。特注品は数量が少ないため、設計をするための情報入手に時間をかけ過ぎると、利益を確保することことができません。また、顧客に対応可否の判断をその場で求められたり、短期間での納入を迫られることもあります。少ない情報の中で、適切に判断することが求められるのです。

 

トラブル対策も同様です。既に現場で問題が発生している場合は、手持ちの少ない情報から、対策を素早く判断しなければ、問題を拡大させてしまう可能性があります。特注品やトラブル対策は、救急医が限られた情報の中で、短時間で治療を進めることと同じだといえます。

 

私は普段から設計ではKKD(勘と経験と度胸)で設計することはやめるべきだという話をしています。設計の妥当性を十分に判断しないままのKKD設計が原因で、たくさんのトラブルが発生していることを知っているからです。しかし、特注品やトラブル対策では、十分な情報を入手することはなかなか困難です。 ある意味KKDが問われる世界でもあるのです。

 

設計者にとって、一般医と救急医のどちらがいいという優劣があるわけではありません。しかし、標準品の設計しかやったことがない設計者は、特注品やトラブル対策のスピード感についていけません。一方、特注品設計やトラブル対策しかやっていない設計者は、標準品設計の地道な活動になじめないことも多いようです。両方の経験を設計者に積んでもらうことが理想でしょう。

 

設計者自らのキャリア構築、自社の設計者育成をする場合、今回の記事のような視点も取り入れて頂ければ幸いです。

 

 

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