アニメ・ドラゴンボールの孫悟空が乗って来た宇宙船のようですが、写真はFRP製の津波避難用シェルターです。株式会社ポンドの”LIFE ARMOUR”という商品で、2015年11月に福岡県北九州市で行われた、西日本防災・防犯機器管理展で展示されていました。
津波が来た時に中に避難し、防護・防水・換気などの機能により救助されるまで生存させることを狙った商品です。大人4人が乗れ、価格は498,000円です。
このような商品を一体誰が買うのだろうと一瞬思ったのですが、説明を聞いて考えるうちに、ターゲットを「津波リスクの高い地域の高齢者世帯」だと考えると、かなりよい商品なのかもしれないと思うようになりました。
津波の被害を避けるためには、以下のような方法があります。
<避難>
・高台へ避難
・津波避難用ビルやタワーへ避難
・津波救命艇
・津波避難用シェルター
<引越し>
・津波の心配がない地域へ移動(引越し/建て替えを伴う)
・同じ地域の高台へ移動(引越し/建て替えを伴う)
<インフラ整備>
・堤防かさ上げ
南海トラフ巨大地震のようなケースでは、地震発生後最短2分で津波が到達する地域があります。知り合いのご両親もそのような地域に住んでいるのですが、高齢者のみの世帯では、2分以内に避難することは、現実的に不可能な気がします。すぐ近所に津波避難用ビルなどがあったとしても、間に合わないのではないでしょうか。
自宅を津波の心配がないような地域や高台へ引越すという方法もありますが、資金面や住み慣れた土地への愛着などから、現実的に難しいと思われます。また、高齢者の引越しは、ストレスの原因となり健康への悪影響が大きいとも言われています。
堤防のかさ上げについては、南海トラフのような巨大地震の対策は事実上困難です。知り合いも、ご両親のことは心配だが半ば諦めているとのことでした。
実際、この津波避難用シェルターで助かるのかどうかは不明です。展示会で説明者された方の話では、このようなシェルターにはまだ規格がないらしく、津波に飲み込まれた時に、どのような性能があればよいかは未知数だとのことです。ちなみに津波救命艇は「船」の扱いとなるので、規格があるようです。
この津波避難用シェルターは強度を保つため(耐荷重9t)球形にしているそうですが、自宅に置くのであれば、角型の方が使い勝手がよいような気がします。クローゼットや押し入れの中に入れられると邪魔にならないですし、違和感もありません。
助かる可能性があるのであれば、50万円程度ならそれほど高くないかもしれません。数量が出るようになればもっとコストダウンすることは可能でしょう。