製品などのリスクを低下させても、低下したリスクを埋め合わせるようにユーザーがリスクの高い行動をし、結果として元と同様のリスク水準になってしまうこと。ABS(アンチロックブレーキシステム)を備えた自動車で、ユーザーが逆にスピードを出すようになることや、製品の強度を高めることによって、逆に人が乗ってしまうテーブルなどが典型的な例である。製品安全に関する社会のニーズは年々高まっており、企業や設計者は製品の安全性を高めるために努力している。しかし、いくら製品に安全対策を施しても、リスク補償行動を誘発するような対策のみでは、コストばかりが大きくなるだけで、製品の安全性を高めることはできない。ユーザーの行動や心理を踏まえた上で、製品に安全対策を実施することが重要である。
【参考資料】
芳賀繁 『事故がなくならない理由 安全対策の落とし穴』 PHP新書
最終更新 2015年11月27日
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