メルマガ「製品設計知識」2024年7月23日号

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メルマガ「製品設計知識」2024年7月23日号

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田口技術士事務所 代表の田口です。

<プラスチック片の混入リコール>

消費生活用製品安全法等の法規制により、製品事故やリコールの情報は行政により公開されることになっています。
私は市場でどのようなリコール、製品事故が生じているかを日々ウォッチしています。ほとんど毎日チェックしているのが、消費者庁とniteのウェブサイトです。

◆消費者庁
https://www.caa.go.jp/

◆nite(製品評価技術基盤機構)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/index.html

リコール事例をウォッチしていて気づいたのは、プラスチックやゴムの破片混入のリコール事例が非常に多いことです。食品では異物混入自体が食品衛生法違反になるため、異物混入があると、どうしてもリコールせざるを得ないという背景があるものと思われます。

直近3ヶ月程度のプラスチック片混入のリコール事例を消費者庁のウェブサイトで調べてみました。

※プラスチック片混入のリコール事例
・7/18 K社製食品 パッキン(EPDM)混入
・7/9 Y社製食品 プラスチック片混入
・6/24 K社製食品 プラスチック片混入
・6/7 K社製食品 プラスチック片混入
・5/22 O社製飲料 プラスチック片混入
・5/20 A社製食品 プラスチック片混入
・5/11 K社製食品 ビニール片混入
・5/10 D社製食品 プラスチック片混入
・5/2 K社製食品 プラスチック片混入
  
原因は様々ですが、生産設備や調理器具、包装袋などが欠けたり、破れたりして混入しているようです。

<食品工場におけるプラスチック製品のメリットとデメリット>
食品工場において、プラスチック製の設備や器具は以下のようなメリットがあるため、たくさん使用されるようになったと考えられます。
・腐食しない(金属材料は腐食する)
・衛生性
・形状の自由度が高い(複雑な形が簡単に作れる)
・軽い
・低コスト など。

一方、プラスチックは以下のようなデメリットがあります。
・劣化する(金属材料は劣化しない)
・耐熱性が低い
・通常のプラスチック片は金属探知機で検出できない

これだけリコールが頻発しているということは、デメリットへの対策が十分ではない可能性が高いと思われます。

重要なポイントとしては、プラスチックは熱や紫外線、水分等によって徐々に劣化することでしょう。特に熱劣化はすべてのプラスチック製品が影響を受けるため、食品向上で使用するプラスチック製品は10年もすれば静的強度や耐衝撃性がかなり低下していることが予想されます。食品工場で使用するプラスチック製品は劣化しにくい材料を選び、また、数年おきに新品と入れ替えることも必要となるでしょう。

プラスチックには金属材料にはないメリットとデメリットがあります。食品工場に限らず、プラスチックの材料特性をしっかり見極めて使用することが重要だと考えます。

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