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メルマガ「製品設計知識」2024年2月21日号
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田口技術士事務所 代表の田口です。今回は設計業務の改善活動を進める上で重要なポイントについて考えたいと思います。
<設計業務の改善活動>
最近は設計業務改善に関してセミナーやコンサルティングのご依頼を頂くことがあり、企業の関心が高まっているように感じます。
設計業務の改善活動に携わっている方は、活動がなかなか上手く進まないと感じることが多いのではないでしょうか。私がこれまで経験したことを踏まえると、以下のような理由があると考えます。
・業務が多岐に渡り見えにくい(設計者はいろいろな業務を抱えている)
・生産性の測定が難しい(測れないものは改善できない)
・業務が変わりやすい(標準化されていない)
・業務が専門的、複雑、高度(本人以外業務内容が理解できない)
・人の要素が大きく、ステークホルダーも多い
・多忙なため改善する時間が取れない など
したがって、設計業務改善を本気で進めるためには強力なリーダーシップが不可欠だといえます。経験の浅い設計者に任せるだけでは一向に改善は進まないしょう。
「測れないものは改善できない」という原則を考えると、各設計者がどのような業務を行っていて、それぞれどれくらいの時間を掛けているのかを把握する必要があります。いわゆる設計工数の測定です。
最近は多くの企業が設計工数を測定するようになっていますが、設計者によっては無駄な時間が増えるだけと感じる人が多く、実施に当たっては十分な合意形成が必要です。背景を何も説明せずに設計工数を測れといっても、十分な協力は得られません。
設計業務の改善活動を上手く進めるためには、なぜ改善が必要なのかを設計部門全員が理解することが重要だと考えます。企業によって理由は様々だと思いますが、設計品質を例に活動の必要性を考えてみましょう。
設計部門には設計品質を作り込むという重要なミッションがあります。狩野モデルに従うと品質は以下のように3つに分類することができます。
①当たり前品質(ないと大きな不満だが、あっても満足感は向上しない)
②性能品質(ないと不満だが、増えるに従って満足感が向上)
③魅力的品質(なくても不満はないが、あると満足感が大きく向上)
これまで日本の製造業は当たり前品質が高いことにより、多くの受注を獲得してきました。しかし、海外企業の当たり前品質がどんどんよくなり、日本企業の優位性は低下しつつあります。当たり前品質を軽視する企業は生き残ることができませんが、当たり前品質だけは十分な競争力が得られない時代になっているのです。
したがって、今、重要なのは必要な当たり前品質を確保することを前提に、性能品質や魅力的品質を磨くことです。
しかし、多くの企業が当たり前品質の確保だけで精一杯という状況が続いています。なぜなら、設計部門は常に多忙であり、当たり前品質以外の魅力を磨く余裕がないからです。その時間的余裕を確保するために必要なのが、設計業務の改善です。これまでと同じやり方では、将来的には厳しい状況に陥ることになるでしょう。
皆様の部門でもリーダーを決めて、設計業務改善を始めましょう!
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