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◆◇◆メルマガ「製品設計知識」2023年10月2日号◆◇◆
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田口技術士事務所 代表の田口です。
環境対応型のプラスチックの採用が少しずつ進んで来ています。最近の採用事例を4件紹介しましょう。
①株式会社ハヤブサ 釣具のサビキカゴにバイオPBSの海洋生分解性グレードを採用
https://www.hayabusa.co.jp/hayabusa/products/P083/
※バイオPBS:バイオマス由来&生分解性のPBS
②株式会社リコー 複合機に市場からの回収プラスチックを17%使用
https://jp.ricoh.com/release/2023/0728_1
※市場からの回収材料:ポストコンシューマ材料
③日本精工株式会社 ボールねじ保持ピースに植物由来のポリアミドを使用
https://www.nsk.com/jp/company/news/2023/0320a.html#
④ヤマハ発動機株式会社 水上オートバイのエンジンカバーにCNF強化プラスチックを採用
https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2023/0825/wv.html
※CNF:セルロースナノファイバー(植物由来)
一方、玩具メーカーのLegoはブロックの素材であるABSを、ボトルからリサイクルされたPETに変えようとしましたが、むしろ炭素排出量が多くなることがわかり断念しました。
https://www.ft.com/content/6cad1883-f87a-471d-9688-c1a3c5a0b7dc
ライフサイクル全体で考えたとき、環境に最も負荷を与えない方法を知ることは簡単ではないということですね。
紆余曲折が予想されるとはいえ、将来的にはほとんどのプラスチックが環境対応型になっていくと思われます。
材料単価が高くて二の足を踏んでいる企業も多いですが、そろそろ自社製品への活用を検討する時期になっているのは間違いありません。
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◆◇◆スナップフィット◆◇◆
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スナップフィットとは材料の弾性変形を利用した締結機構のことです。環境対応を迫られているプラスチック製品に、易分解性(簡単に分解できる構造)を付与できるため今後さらに重要になる締結方法です。
私は3Dプリンターで作ったスナップフィットの特性について九州工業大学で研究を行っています。
その研究結果がIJAT(※1)のアディティブマニュファクチャリング特集号に論文が掲載されました。
https://www.fujipress.jp/ijat/au/ijate001700040326/
今回の報告は主に組立時の締結音についての内容です。
無料で見ることができますので、ぜひ御覧ください。
※1 IJAT:International Journal of Automation Technology